脱臼の中で一番多いのは肩の脱臼です。
一度肩の脱臼をやると癖になると言われていますが、本当でしょうか?

結論からいうと癖になります。
癖になって何度も肩の脱臼を繰り返してしまうことを「反復性肩関節脱臼」といいます。

今回は反復性肩関節脱臼についてまとめてみました。

<肩関節が脱臼しやすい理由>

肩関節は、肩甲骨の窪みにある関節窩の上に上腕骨頭が乗っている状態ですが、構造上不安定であるうえに、身体の中でもよく動かす関節なので、脱臼しやすいです。

例えるなら小さなお皿(関節窩)の上にボール(上腕骨頭)が乗っているのをイメージすると分かりやすいです。

・肩関節脱臼は癖になりやすい

一度脱臼をしてしまうと関節内で上腕骨頭が脱臼することを防いでいた関節窩の縁にあるガードレールのような組織(関節唇)も元の位置から外れてしまいます。
そのため、二度、三度と脱臼をするにつれ、「脱臼の道」のようなものができてしまい、外れやすくなってしまいます。

・若い人ほど癖になりやすい

若年者は肩関節を包む軟部組織に柔軟性があるため、次第に関節が硬くなってくる中高年者に比べると、脱臼が起こりやすくなってしまいます。
また、若年者は受傷後もスポーツなどで負担をかけてしまう事が多いので、再受傷するリスクが高いです。

<肩が脱臼した際の応急処置>

応急処置は「RICE」の法則で対応します。

・REST(安静)

まずは患部を無理に動かさずに安静にします。

・ICING(冷却)

次に患部を冷やしてあげます。
肩が脱臼した場合、炎症や内出血が悪化してしまう可能性があるため、しっかり患部を冷やして炎症を抑えてやる事が肝心です。

・COMPRESSION(圧迫)

そして圧迫をします。
出血と腫れを抑えるために、きつく締めすぎないように包帯などで圧迫します。

・ELEVATION(挙上)

最後に挙上です。
肩を心臓より高い位置に持ち上げて保持して下さい。

これらの応急処置を行ったうえで、整形外科や整骨院を受診しましょう。
大抵の脱臼は、徒手整復(脱臼した骨を素手で元の位置に戻す)で元に戻す事ができます。
しかし、時間がたってしまうと整復が難しくなるので、できるだけ早いうちに診察を受けましょう。