尖足(せんそく)とは足の変形の一種で、足関節が足底のほうへ屈曲した位置に拘縮したものをいいます。
歩くとき、踵を地面につけることができずに、足先で歩くような状態になります。
尖足の原因には様々なものがあります。
<尖足の種類>
・先天性内反足による尖足
生後に、尖足、足の先が親指の方に曲がっている内転足、土踏まずが高い凹足(おうそく)といった先天性の変形が合併することによって起きます。
・麻痺性尖足
ポリオなどの脊髄性麻痺により、足の背屈筋(足の関節を曲げる筋肉)の筋力が低下することによって起きます。
下腿前面の筋肉の麻痺が影響
・痙直性尖足
脳性小児麻痺や脳卒中などの痙性麻痺により、足の底屈筋(足の関節を伸ばす筋肉)の緊張が高まることによって起きます。
下腿後面(ふくらはぎ)の筋肉の痙攣が影響
・習慣性尖足
長時間寝たきりの状態により、足の重みや掛け布団の圧迫によって起きます。
<尖足の治療)
尖足のままだと、歩くことも困難で日常生活を送るのにも非常に不便なので、足首を固定する距腿関節固定術が行われる事もあります。
アキレス腱の筋膜の外傷や筋炎による尖足に対しては、アキレス腱延長術や腱移行術などの手術療法が行われます。
脳性小児麻痺や脳卒中後の片麻痺などによる尖足は、原因となる疾患の治療に際して、足関節に副子や足板を直角に当てて固定し、発生をを防ぎます。
習慣性尖足の予防には、副子や足板を用いて足首を直角に保ち、布団の重みが足に加わらないように離被架という足を保護する器具を用いたり、マッサージや足関節の自他運動を行うことが大切です。
・矯正治療は逆効果?
片方の下肢が短いと、それを補うために自然に尖足状態に陥る場合もあります。
この場合は、矯正治療によって正しい位置に戻すと、逆に歩きづらくなる場合があるため、ほとんどのケースでそのままの状態を維持するようになります。
・軽度の尖足にはマッサージが有効
軽度の尖足はマッサージをすると元の正しい位置に矯正する事も可能です。
また長期の安静が必要になった場合は、尖足を予防するためにマッサージ治療が重要になります。
マッサージをすると血行を促進させて、尖足の状態に陥ることを予防できるからです。